網状皮斑(リベド)

  • 皮膚末梢循環障害に起因する網目状の潮紅を呈する病変をlivedoと呼ぶ。
  • 真皮-皮膚境界部の血管の閉塞性循環障害によって生じる。
  • 機能的な循環障害による大理石様皮膚(cutis marmorata)と器質的障害に基づく分枝状皮斑(livedo racemosa)に大別され、この中間に網状皮斑(livedo reticularis)が位置づけられている。

livedoの分類

●cutis marmorata(大理石様皮膚)

  • 閉鎖性の網目構造
  • 機能的な一過性の細動脈側の緊張口唇、細静脈側の緊張低下により起こる。
  • 組織学的変化は認めない。
  • 精神的な影響や寒気で出現。

●livedo reticularis(網状皮斑)

  • 閉鎖性の網目構造であるが、cutis marmorataよりも持続性。
  • 組織学的には真皮-皮下脂肪境界部の小静脈内腔のうっ血または拡張を認める。乳頭下層の血管周囲性の細胞浸潤を軽度認めることがある。

●livedo racemosa(分枝状皮斑)

  • 下腿に好発。
  • 初期には潮紅、次いで赤紫色の不規則な樹枝状構造を形成。分枝部の皮下に小結節を触れる。
  • 組織学的には真皮-皮下境界部の小動脈分岐部に限局性の変化をみる。
  • 外膜周囲には種々の程度のリンパ球浸潤を認めるが、好中球浸潤や血管壁の炎症はない。
  • 血管内膜下にエオジン好性、無構造のフィブリノイド物質の沈着を認める。

livedoを呈する全身疾患

うっ血、血栓、塞栓、壁沈着、壁の炎症を呈する疾患がlivedoを生じる。

感染症 マイコプラズマ(寒冷凝集素症)、ブルセラ症、結核(近年は稀)
中枢神経疾患  Sneddon症候群
循環器疾患 コレステロール塞栓症、腎不全患者のcalciphylaxis
血管炎 顕微鏡的多発血管炎、結節性多発動脈炎、皮膚型結節性多発動脈炎
膠原病

SLE、抗リン脂質抗体症候群、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症

血液疾患

クリオグロブリン血症、クリオフィブリノーゲン血症、寒冷凝集素症

真性赤血球増加症、プロテインC欠損症、アンチトロンビンⅢ欠損症

肉芽腫性疾患 サルコイドーシス
腫瘍 転移性腫瘍による血管内血栓、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、白血病
薬剤

アマンタジン(40%にlivedo racemosaがみられたとする報告あり)

ミノサイクリン(ANCA関連血管炎様症状)

ヘパリン、メチルフェニデート、ゲフィニチブ、キニジン、ゲムシタビン

インターフェロンα/β、Nicolau症候群

その他 心房粘液腫、慢性膵炎、高シュウ酸血症、全身性毛細血管漏出症候群

《リンク》

livedo vasculopathy